「介護×美容」専門のプロフェッショナルスクール【介護美容研究所】は2018年に東京・原宿で開校しました。受講生は年々増加し、2024年の入学者は1,000名を突破しました。
社会背景
■介護人材の不足
厚生労働省の見込みでは、2026年度までに必要となる介護職員数は約240万人とされ、現状と比較すると約25万人の不足になり、年間で約6.3万人の確保が求められています。
このような状況下において、介護美容のプロフェッショナル「ケアビューティスト」は、多様な年代・バックグラウンドを持つ人材が活躍できる新たな職種です。美容ケアと心のケアを通じて介護現場に関わることで、介護業界の人材不足という課題解決への一助となることが期待されています。
受講生増加の要因について
【介護業界の視点】
■「その人らしい生き方」をサポートする重要性の高まり
2006年の介護保険法改正で「高齢者の尊厳を支えるケア」が目的の一つに掲げられました。現場では人手不足が深刻化する中、身体介助(食事・入浴・排泄など)だけでなく、心のケアや利用者の生活の質(QOL)の向上が重視されるようになりました。現在では、高齢者が誇りを持って「その人らしい生活」を送れるよう、生活全般のサポートも介護職の重要な役割となっています。
■介護・医療現場での美容ケア需要の増大
このような変化を背景に、見た目を整えることによる自己肯定感や生活意欲の向上効果が注目され、介護現場での美容ケアが広がっています。当社の実証研究でも、要介護高齢者のリハビリ参加頻度の上昇や認知機能の維持が確認されました。2024年の介護・医療職の受講生からは、「実際の美容ケアの現場に立ち会ったことがきっかけで学びたいと思った」という声が多数寄せられています。
【受講生の視点】
◎「介護美容の専門技術を学びたい」需要に応えるカリキュラム
「介護美容」は新しい分野であり、学びたい人・仕事にしたい人が増えていますが、学べる場が少ない状況があります。
当社のスクールでは、介護美容ならではのメソッドを幅広く学ぶことができます。
例えば、認知症を持つ高齢者の方とのコミュニケーションの取り方や拘縮のある方へのネイル施術方法、介護美容アセスメントの授業ではケアプランを理解し、ご利用者様の障がいや現病に合わせた適切な美容プログラムの提案方法を学ぶことができます。
◎介護や美容の仕事が未経験でも新たな職業「ケアビューティスト」に挑戦できる
介護美容研究所の入学者の約半数は介護や美容関係の仕事の未経験者です。年齢も10代から70代まで幅広い年代の方がスクールで学び、ケアビューティストを目指しています。カリキュラム修了(卒業)後は、介護施設や高齢者の個人宅に訪問し美容サービスを提供しています。
当社が運営する施設向けマッチングサービス「care sweet」を通じて介護美容を仕事にしたい卒業生と美容サービスを求める高齢者施設をつなぎ、活躍の場を提供しています。
◎自分のキャリア希望やライフスタイルに合った働き方を目指せる
介護美容のプロフェッショナル「ケアビューティスト」として、多様な働き方を実現できます。
・副業として施設で美容を提供
・個人事業主として出張美容やエステを開業
・子育てと両立した働き方
・現職の看護師・介護士が「ビューティーケアワーカー」として美容ケアを提供
・他業種からの転職者が施設で美容ケアを提供
【介護美容の効果】
◎ご家族の介護ネグレクトが改善された施設での事例
介護美容を導入する尾久のはらっぱ(東京都荒川区)施設長の佐野様より
介護美容を取り入れてよかったことは、入居者・利用者の方の表情が明るく変化し、感動が生まれたこと。中でも8割を占める認知症を持つ入居者・利用者の方は5分前のことを忘れてしまいますが、きれいに彩られたネイルや鏡の前でメイクアップされたお顔をもう一度ご覧になることで、その時の感動を思い出し、ポジティブな気持ちになっています。入居者の方から「またやってもらいたい」「結婚できるかな」などの言葉を聞くと、その方の人生観も変わったのではないかと思うこともあり、「介護美容」がそのきっかけになっているのはすごく素敵なことだと思っています。
また、普段笑顔をほとんど見せなくなった認知症を持つ入居者の方がメイクをしたことで、 表情がパッと明るくなり、その姿を写真に収めてご家族に送ったところ、 ほとんど施設に来ることのなかったご家族が施設に訪れ、食事介助まで行うようになったこともありました。
・インタビュー動画はこちら:https://www.youtube.com/watch?v=up4kado4znI